トインビー随想

トインビー博士について様々な話題を語ります

トインビー史観を貫くもの

 トインビー博士の歴史観というと、即座に「文明」中心もしくは「高等宗教」中心の歴史観という答えが返ってきます。「20世紀最大の歴史家」と高く評価する声がある一方、専門家を自任する歴史学者の中からは、「アマチュア歴史家」「文明の墓掘り人」等、きわめて感情的で厳しい評価をする人が数多く存在します。大著「歴史の研究」の最終巻が刊行され全貌が明らかになった1950年代以降、一般の人々からの評判が高くななることと反比例して、感情的で否定的な評価が強くなっていきました。その後、1975年に死去されるまで、特に日本においては朝日、毎日、読売、日経などの新聞の新年の紙面等に、時代を分析し未来を展望するトインビー博士の寄稿が掲載されてきた。その名前は、老若男女を問わずほとんどの人の脳裏に収まっていると言って良い。まもなく死後50年の節目が、2025年にはやってくる。現在の時点でトインビー博士の歴史観は、どのように受け止め、評価することができるであろうか。そしてその評価の意義とは何であろうか。既存の歴史学の世界においては、トインビー博士を無視し続けており、現在のアカデミズムの世界にはトインビー史学はない。しかし、現在もなお評価し続けているのが創価学会である。老齢で世界への旅行が難しくなっていたトインビー博士が自ら手紙を書き、訪英と対談を提案され、その提案に応ずる形で、5月の時期を選んで、1972年、1973年と二年と続けて対談を実現した当時40代の創価学会の若きリーダー、池田大作。その対談の内容は日本語版は「21世紀への対話」、英語版は「Choose Life」と題されて出版され、創価学会の世界への発展と連動して、その後世界26言語に翻訳され出版されている。池田大作氏はその後、モスクワ大学北京大学、等の当時共産圏に属していた大学をはじめとして、アメリカのハーバード大学、カリフォルニア大学、ボローニア大学等の欧米の大学に招待され、講演している。さらに世界300をこえる大学、学術機関から名誉学術称号を受けている。2021年1月2日の段階で93歳になった池田大作氏。その生涯の、日本人としては驚異的な世界の学術界からの評価と顕彰は、その淵源をたどると間違いなくトインビー博士との対談、その内容を収めて出版された「21世紀への対話」(「Choose Life」)にたどり着く。その事実は、この世界での講演、顕彰の場で語られる推薦の言葉の中に明確である。20世紀後半から21世紀にかけての世界の中で、この客観的事実は重要な意味を持つ。しかし特に日本においては、この事実はマスコミ等を通じて表にでることはなく、大部分の日本人は、創価学会の指導者としての池田大作としては認識しているが、世界での客観的な評価は知らないし、知っていても、あえて故意に無視しようとしている。このような奇妙な状況がまだ続いている。

一方、世界の学術機関からの評価は高い。特に「核の時代」に入り、一歩方向を間違えれば全人類の滅亡もあり得る状況の中で、世界全人類の平和と安穏を願う心ある指導者、知識人はこぞって「21世紀への対話」(「Choose Life」)に語られ、記録されている、人類の方向を示す英知と慈愛の言葉に対して、賛同と共感の思いを表明している。