トインビー随想

トインビー博士について様々な話題を語ります

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「戦争」に対するトインビー博士の行動

前回のブログではトインビー博士の原点としての体験を踏まえた、博士の「戦争」に反対する思いと決意についてふれました。今回は、その決意に基づいて、どう行動し、戦ってきたかについて同じく「回想録」の中から引用します。 p110 戦争を廃止するために働…

トインビー博士の「戦争」廃止への思い

トインビー博士の全ての著作を通して、通奏低音のように一貫して流れ、時には学者としての客観性をあえて越えても主張されているのが、「戦争」廃止への強い思いです。 このブログの中では、「哲学的同時代性」というトインビー史学の根幹を構成する原理の発想…

トインビー博士の原点「第一次世界大戦」・・・・戦争と人間

トインビー博士は、「回想録」の第五章に「チャタムハウスにおける三十三年」と題して、博士が「歴史の研究」「国際問題大観」を平行して執筆していた時代を振り返って書いております。この部分の中に、なぜトインビー博士が全世界、全時代を対象とする真実…

世界史としてのトインビー史学・・・J.フォークト「世界史の課題」(1961)より

世界史としての「トインビー史学」に着目し、いち早く著書「世界史の課題」においてとりあげた人がドイツの歴史学者 J.フォークトです。副題に “ランケからトインビーまで” と掲げているように、西欧の歴史学において課題としての「世界史」を追求してきた流…

「歴史家トインビー」 鈴木成高

「トインビー・人と史観」より 1957年・社会思想社 「歴史家トインビー」 鈴木成高 p14.L12 ・・・距離のなかには、トインビー史学におけるもっとも本質的なもののひとつである「視野」の問題が含まれている。トインビー史学は歴史学のなかに視野…

トインビー博士と創価学会

●トインビー博士と大乗仏教、日蓮仏法、創価学会 ★トインビー博士が、東洋の国の一宗教者である私に、なぜ、対談を希望されたのであろうか。博士からの手紙にもあったように来日された際(1967年)に、創価学会の宗教運動についていろいろ耳にされ、興味…

トインビー史観と「古代末期」・・・ピーターブラウン「古代から中世へ」を読んで

「古代から中世へ」と題するピーターブラウン教授の書籍を読み、何らかのコメントを書かねばと考えて、しばらく手元に置いている。 この本は、東京教育大の西洋史の後輩で、法政大の教授である後藤篤子氏の編集したもので、ピーターブラウン教授の古代末期観…

トインビー史観 世界史確立への決意

回想録 日本版への序文 私の生涯のうち成人としての期間は今では半世紀以上になるが、私はこの年月を費やして、現代の国際問題を世界的な規模で研究し、また人類の過去の歴史を統一体として見ようと試みてきたからである。私の目ざしたことは、私と同時代の…

「21世紀への対話」実現への経緯 

●「21世紀への対話」実現にいたる経緯“トインビー博士と池田先生”話は4年前にさかのぼるが、昭和44年(1969年)の初秋、私は、トインビー博士から一通の手紙を頂いた。『前回、訪日のおり(注・昭和42年)創価学会並びにあなたの事について、多く…

21世紀の歴史家トインビー

古典教育を受けたおかげで、19世紀流の専門崇拝は私にとっては何の意味ももたなかった。この忌むべき慣行に屈したい誘惑に駆られたことすらなかった。政治、経済、宗教、芸術、科学、技術のうちのいずれかの歴史家になろうか、と考えたことはなかった。私の…